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豊麗なる和のビーナス 聖林寺の十一面観音 (産経新聞)

【麗し大和】(4)

 ふわり、天から舞い降りたようなかろやかさ。豊満なのに、スレンダー。天平彫刻の傑作とされる聖林寺(しょうりんじ)の十一面観音立像(国宝)は、時にミロのビーナスと比較されるのもなるほどと思われた。人のかたちを借りながら、この世のものではない美が宿る。

 三輪山の南にある聖林寺は、卑弥呼の墓かと話題の箸墓(はしはか)古墳や桜井市内を見渡す地に建つ小さな寺だ。本尊は別にあって、子授けで知られる地蔵菩薩。戌の日に安産・子授けの祈祷(きとう)を願う人も多い。奈良市街から電車とバスを乗り継いで小1時間、小川を渡って狭く急な坂を上ると、苔(こけ)むした寺の石垣が見えてくる。

 「神々しい威厳と、人間のものならぬ美しさ」。倫理学者、和辻哲郎は名著「古寺巡礼」のなかで、熱狂的ともいえる筆致で観音像を賛美し、写実と理想の結晶と述べた。白洲正子は昭和初期から何度も訪れ、「私の一番好きな仏さま」と呼んでいる。審美眼に優れた彼らをそれほど引きつけた観音像。その歴史もまた、興味深い。

 つくられたのは8世紀半ば。三輪山をご神体とする大神神社(おおみわじんじゃ)の神宮寺(付属寺院)にあったが、明治の神仏分離令で聖林寺に移された。うち捨てられていたとの逸話もあるが、寺に預証文もあるというから、やはり大切に扱われたに違いない。

 安らかなお顔を眺めていると、安住の地を求め、観音自らこの寺を選んだように思えた。(文 山上直子、撮影 大塚聡彦)

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